4日分の日記を一気に書く企画・第一弾 『承』
2004年10月20日私はベットから体を起こした。
(悪い夢を見た…)
今まで見ていた、悪い夢を追い払うかのように頭を振りながら、いつもと同じ動作でベットから降りようとする。
ゴツ
壁に足をぶつけてしまった。
いつも降りている方には壁があった。
(まさか!?)
はっきりと意識を取り戻した目で辺りを見回す。
15年愛用しているコンポも、無造作に飾られているガンプラの姿もそこには無かった。私の記憶が正しければ、ここはサンドリア城下町・猟犬横丁の一室だろう。
『お、気が付いた?』
暖かいミルクが入った木製のコップを2つ、これまた木製のお盆に乗せて、
彼が入ってきた。
『いきなり気を失うもんだから焦ったよ』
と言いながら、
持ってきたお盆を木製の机に置き、コップを1つ渡してくれた。
私はそれを受け取り、
『ありがとう』
と言葉少なに返す。(我ながらかなり嫌な奴に見えてるに違いない…。
『君も冒険者かい?』
自分の分のコップを取りながら、それでも彼は聞いてきた。
『………』
(冒険者か…)
私もファンタジーの世界に憧れた事が無いわけじゃない。漫画やゲームで繰り広げられる壮大な世界で、剣や魔法を駆使し、仲間と共に冒険するという叶わぬ夢を見ていた時期もある。
当時なら、諸手を上げて歓喜していたに違いない。しかし、今の私は少し成長し過ぎたようで、自分の限界というものを知ってしまっている。剣道1級の腕前でモンスターと渡り合えるわけがない。ましてや、魔法なぞ詠唱出来ようはずもない。
『いや 冒険者じゃないよ』
過去の自分の夢を全否定する。
『そっか』
彼は短く、そう答えた。
私は、渡されたコップを両手で抑えるように持ち、ずっとミルクの表面に映る自分の顔を見ていた。彼もそれから何も言わずに、ゆっくりとミルクを飲んでいる。
どれくらい時間が過ぎただろうか…。
『私でも冒険者になれるだろうか?』
相変わらずコップを見たまま、私は呟いていた。
『もちろんなれるさ』
彼は、ミルクを飲み干したコップを机に置きながらそう言った。
『さぁ 行こうか!』
そう言って、彼は手を差し出す。
その手をがっちりと掴んで、私は答えていた。
『ああ 行こう!』
その目には、もう迷いは無かった。
(悪い夢を見た…)
今まで見ていた、悪い夢を追い払うかのように頭を振りながら、いつもと同じ動作でベットから降りようとする。
ゴツ
壁に足をぶつけてしまった。
いつも降りている方には壁があった。
(まさか!?)
はっきりと意識を取り戻した目で辺りを見回す。
15年愛用しているコンポも、無造作に飾られているガンプラの姿もそこには無かった。私の記憶が正しければ、ここはサンドリア城下町・猟犬横丁の一室だろう。
『お、気が付いた?』
暖かいミルクが入った木製のコップを2つ、これまた木製のお盆に乗せて、
彼が入ってきた。
『いきなり気を失うもんだから焦ったよ』
と言いながら、
持ってきたお盆を木製の机に置き、コップを1つ渡してくれた。
私はそれを受け取り、
『ありがとう』
と言葉少なに返す。(我ながらかなり嫌な奴に見えてるに違いない…。
『君も冒険者かい?』
自分の分のコップを取りながら、それでも彼は聞いてきた。
『………』
(冒険者か…)
私もファンタジーの世界に憧れた事が無いわけじゃない。漫画やゲームで繰り広げられる壮大な世界で、剣や魔法を駆使し、仲間と共に冒険するという叶わぬ夢を見ていた時期もある。
当時なら、諸手を上げて歓喜していたに違いない。しかし、今の私は少し成長し過ぎたようで、自分の限界というものを知ってしまっている。剣道1級の腕前でモンスターと渡り合えるわけがない。ましてや、魔法なぞ詠唱出来ようはずもない。
『いや 冒険者じゃないよ』
過去の自分の夢を全否定する。
『そっか』
彼は短く、そう答えた。
私は、渡されたコップを両手で抑えるように持ち、ずっとミルクの表面に映る自分の顔を見ていた。彼もそれから何も言わずに、ゆっくりとミルクを飲んでいる。
どれくらい時間が過ぎただろうか…。
『私でも冒険者になれるだろうか?』
相変わらずコップを見たまま、私は呟いていた。
『もちろんなれるさ』
彼は、ミルクを飲み干したコップを机に置きながらそう言った。
『さぁ 行こうか!』
そう言って、彼は手を差し出す。
その手をがっちりと掴んで、私は答えていた。
『ああ 行こう!』
その目には、もう迷いは無かった。
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